私は 自費治療を行う、鍼灸院・整体院・接骨院の施術者 ではないのだが、何故か興味をひかれて読んでみた。
結論から言えば、「ビジネスの基本術」である。
内容は確かに治療家に向けた具体的な内容が書かれているが、その根本は商売の内容を問わず、何にでも生かせるものだ。
本の内容について、一部触れていく。
目次
1.患者の過去・現在・未来、これらを一方的に決めつけないこと
本ではこれらすべてを患者に話してもらうことを最重要としている。
特に大事なのが患者の未来。
これは患者自身も分かっていないことだし、私も本を読むまでそう思わなかった。
「何故症状を治したいのか」
「症状を治してどうしたいのか」
これが本当の目的だ。
症状を治すのは手段でしかない。
極論、痛みがあってもそれで困らければ痛みを治す必要は無い(そんな人間はいないだろうが)。
痛みがある、だから○○ができない。
この「だから~」を患者と共有することが大事であると語っている。
何故なら、それが患者にとっての治療の終着点だからだ。
治療家の終着点ではない。
あくまでも患者の、だ。
治療を終えれば終わり、は治療家の望む未来であって患者の望む未来ではない。
現在はどうなのかも、過去どうだったのかも同様だ。
現在と過去の共有なくして未来を共有することはできない。
2.気を遣った嘘をつかせない
この項目は読んだ瞬間ドキッとした。
これは誰しもが覚えがあるはずだ。
施術した治療家に対し、患者側が忖度して何の効果も無いのに「痛みが無くなった」と嘘をつく。
相手が自信満々で行った施術に、はっきり「効果が無い」と言えない。
日常でもよくあることだ。
相手は親切心から手伝いをしてくれたが、楽になったどころか何も変わらない、下手をすれば余計に手間が増えた。
しかしそれをはっきりとは言い難く、結局「助かったよ、ありがとう」と心にもないことを言わなければならない。
人間関係では必要な嘘ではあるが、施術された側にこんな嘘をつかせてはならないと本著は語っている。
そして、こんな嘘をつかせてしまうのは患者との信頼関係の低さが問題であると言っている。
信頼関係が高まっていれば、言いづらいことをはっきり言える。
そしてこれは、治療家側のみならず、患者側にとっても良いことなのだ。
自身の状態をはっきり伝えられることは、自身の状態に不安を抱かずに済むからだ。
そのことによってより治療家と患者の信頼関係が高まる。
もしあなたが施術を受けても効果が無いと感じたら、忖度せずにはっきり「効果が無い」と告げよう。
それで「そんなことは無い!」などと否定されたら、その時はさっさと別のところへ行った方がいい。
そんな自己満足の治療家には、あなたを満足させることはできないのだから。
3.治療院はボランティアか?
これはもう、仕事をする人全員に言えることだ。
これはビジネスだと。
ならば堂々と料金を払ってもらう。
「こんなことで貰って申し訳ない」などと思うな。
治療院では、問診や検査までなら費用を取らないところもあるそうだ。
しかし本著では、その段階でも知識や経験を披露している以上料金は取るべきだと述べている。
そして、料金を取るようになったからと言ってリピートされなくなったということもない、と。
知識や経験、なにかしらを相手に提供しているなら、その対価を受け取るのは当然の権利だ。
そこに変に卑屈になって「もらえない」などというのは、最初からボランティアでもやってればいい。
ビジネスなのだから、堂々と稼げばいい。
そう本著は述べている。
まとめ
本著は極論、誰が読んでも学びがある本だ。
仕事である以上、「相手」が必ず存在する。
その「相手」を満足させることが、リピーターを、そして継続的な経営ができるようになる。
特に本著は直接患者と一対一で接する仕事だけに、それを特に重要としている。
一方的にサービスを売りつけるようでは次は無い。
相手がどんなサービスを望み、そのサービスでどんな満足が得たいのか、とても大事なことだ。
そのことを肝に銘じておく。
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