何故あの国は栄え、そして滅亡したのか。
その理由を『お金』の面から解説した本。
古代エジプトから始まり、リーマンショックに至るまで。
ローマ帝国やナポレオン、そしてナチス等過去印象深い国々や集団がどうしてそうなれたのか、そしてなぜ消えていったのか、それがとても面白くまとめられている。
そしてつくづく本書を読んで感じた。
『お金とは発展と滅亡をもたらすツール』であると。
お金とは汚いもの、いやしいものであるという価値観を持つ人が多い日本人には、是非とも本書を読んで、お金に対する新たな価値観を得ていただきたい。
このブログでは、本書にある『発展』と『滅亡』を一例だけ紹介していく。
発展:海賊のスポンサー
なんとも驚きだが、発展に海賊を利用していた国があった。
それがイギリスのエリザベス女王。
表向きは海賊行為を禁止しながらも、裏では海賊たちのスポンサーに。
スポンサーなのだから、海賊行為による利益が上がればその一部を受け取ることができる。
その利益で国家を繁栄させていたのだという。
国家を繁栄させるためだからといい、海賊行為を禁止どころか推し進めていた行為は決して褒められることではない。
が、国家発展の最高責任者である女王の立場からすれば……と思うと、それこそそんな綺麗事を言ってられなかったのかもしれない。
いつだって国は自国の発展が最優先。
富を自分たちに集めたいという思いがある。
……それが、過去様々な争いの引き金になっているのは、本書を是非読んでいただけると分かる。
滅亡:徴税請負人
国家の発展のためには欠かせない『税』。
これが原因で滅亡していった国は数多い。
もちろん国そのものが主導して重税をかけ、国民の反感を買い、滅亡した場合もあるが、今回は国ではなく、国から税の徴収業務を委託された『徴税請負人』について語る。
大抵はどこもこの『徴税請負人』は清廉潔白で、定められた税のみを徴収。
国民の生活が困窮している場合は減税や免除も行っていた。
ファラオがそのようなことを言っていたという記録もある。
なので、この徴税請負人がまともな時は国は非常にうまく回っていた。
しかしそれが長く続かないのが人の世。
徴税請負人は、国から委託された官僚のようなもの。いわゆる公務員だ。
その意識の高さ、驕りからだんだん腐っていったのだという。
徐々に私腹を肥やす者が現れ、集めた税を懐に入れる者が増え始めた。
国は徐々に税収が低くなり、やむなく税収を上げようと税率を上げたりと政策を変える。
それは国民の負担となり、それが高まり……国は崩壊する。
徴税請負人自体は、悪くない制度だろう。
しかし、半ば世襲制になったり、長年の癒着で腐っていく事例が後を絶たない。
最初は素晴らしい仕組みでも、長く続けば必ず腐る。
そんなことを教えてくれる。
まとめ
お金、富という視点から歴史を見ていく本書。
発展も、問題も、戦争もすべて金にまつわることから始まる。
しかし、お金自体はただのツールであって、良いものでも悪いものでもない。
結局は使うもの次第。
どういう使われ方をしたか、だ。
お金があるからこそできることも、お金がないからこそ起きる問題も。
いずれにせよ、経済の中で生きる以上、お金を避けることはできない。
避けられない以上、現代人の我々に求められるのは、過去の誤ったお金の使い方を学び、よりよくするための方法を模索していくだろう。
決してお金から逃げることではない。
お金から逃げて、無人島で自給自足生活?
その生活をしていたら植民地にされた、という歴史を知って尚、その生活ができると思うならそれもいいだろう。
逃げることはできない。
だからこそ、ちゃんとお金を向き合うことが大切。
それを本書は教えてくれる。
興味がわいたなら、是非とも読んでみてほしい。
コメントを残す