[雑記]少子化は日本にとって追い風となるという考察

今回の記事は、問題として騒がれることが多い少子化について、問題どころかむしろ日本にとって良い影響をもたらす追い風になるという考察です。

考察の結論としては、少子化によって起きる人手不足は無駄な業務を無くす動きとなり、また人が減れば利益を分配する母数が減るから従業員一人当たりの報酬は増えることになるからです。

まず問題について一つ一つ見ていきます。

本当に今は人手不足なのか?

少子化の問題の一つとして、労働力不足が挙げられます。それは今も起きていることですが、そもそも今は本当に労働力不足、人手不足なのでしょうか?

まず見ていくのは、労働力人口の推移です。統計局からの引用です。

労働力人口は2018年をピークに、ほぼ横ばいです。

これを、男女別にみてみると意外な結果が見えてきます。

見比べるとピンとくるかと思いますが、男性はほぼ横ばいに対し、女性が働く数は年々増えています。

つまり、労働力人口全体で見た時の2018年までの増加はほぼ女性の労働力人口が増えた結果であり、それは2022年までほぼ増加傾向であるということ。

これはある意味当たり前と見れるかと思います。男性がほぼ労働力として社会に出ているのですから、男性自体が増えない限り労働力人口も増えません。しかし、女性の場合はこれまで社会に出ていなかった主婦層が徐々に社会に出てくれば増える余地はあります。

さて、これを見る限り、労働力人口は2012年からピークとなる2018年の6年間に実に400万人も増えています。にもかかわらず人手不足というのは、何かおかしいのではないかと思います。

ここでぼくが思うのは、人手不足というが本当に必要な業務をするために必要な人手なのか?という点です。これについて、前職の実感から述べていきます。

それは本当に必要な業務?

もし、これを読んでいる方が企業に勤めている方でしたらお聞きします。

『あなたが日ごろ行っている業務は、会社の業績に影響しますか?』

もちろん、この質問に「いいえ」と答える方はいないはずです。しかし、中には悩んだ方もいるのではないですか?

ぼくが前職である企業に勤めていたとき、そこそこの業務に対し、「この仕事は本当に必要な仕事なのか?」と思ったことがあります。

実際、この業務の必要性について上司に尋ねた時、

  • 「昔からやっている」
  • 「今更やめると怖い」
  • 「気にせずやれ」

等、何故この業務が必要なのかについて明確な答えが無いということがよくありました。

そう感じていたのはぼくだけではありませんでしたが、結局やれと言われたから仕方なくやっている。けど、やる意味が分からないから、やる気になどならず、ただの時間つぶし・面倒くさいだけ…という決して良くない雰囲気にもなっていました。

このような、業績に関係しない無駄業務が世の中の企業に蔓延し、そんな仕事のために人手が不足しているだけ。さらに、そんな無駄業務をやらされるから仕事のモチベーションも上がらず、辞めるか心を病むかのどちらかになってしまっている。そう考えました。

業務というのは、日々見直しが必要です。それはぼくがミニマリストであり、常に常識を疑う姿勢であるというのも影響してくるかと思いますが、世の中が変われば求められるものが変わり、それに合わせて業務も変えなければなりません。

それでなくても、世の中というのは増やすのが好きです。いくらでも業務は増やしたがりますが、減らしたり止めることにはいつも二の足を踏んでばかり。必要がもう無いと資料を提示しても、「怖いから」「まだ不安だ」という感情論で止めない。これでは人手がいくらあっても足りません。

人を増やす前に、無駄な業務を止めること。増やして問題解決するのではなく、減らして解決すること。そうすれば、人手不足だと悩むことはなくなると思います。

次は、そもそも今起きている問題は人手不足ではなく人手過剰が原因ではないかという考察です。

人手が多すぎるから問題が起きている

↓に人手不足が及ぼすデメリットを引用します。

これを見て、本当にそうだと思いますか?

ぼくはこれを、一番上の「残業時間の増加、休暇取得数の増加」を除いて全て人手過剰にも当てはまる内容だと思いました。

まず、労働環境の悪化について、人手が余ればどうなるか。陰口・悪口、そして会社の先行きを不安視する声が増えます。つまり、暇だから手よりも口が動くようになります。このような人間関係を含む労働環境の悪化が発生します。

そして、暇ですからはたらきがいや意欲が低下するのはもちろんです。

さらに、仕事もないのに能力開発などしたいと思うわけがありません。仕事があるからこそ、能力を身に着けたいと思うのです。暇な人間が能力を身に着けたいと思うと考えるなら、それは誤りです。

そして、↑の状況にいれば、そんな会社にいたいとは思わなくなります。とくに若者の場合は顕著でしょう。新参者では社内の悪口・陰口を話すよりも、その対象になることのほうが多いわけですから。

ぼくの考えでは、これらの問題はむしろ人手不足にこそ解決できる内容だと思います。

忙しければ、余計な口を動かしている暇などありません。口よりも手を動かさないといけないのですから、悪口・陰口をたたく余裕もありません。

また、仕事をしているという充実感があれば、それが結果的にはたらきがいなどに直結します。人手が少なければ、それだけ仕事の責任と重要性もあがります。自分が何のために仕事をしているのか、それが分かりやすくなり、社会に貢献しているという実感も高まります。

そして、仕事をしているからこそ、もっと能力を高めたい・身に着けたいという欲求に繋がります。

↑のようになれば、離職率も減るでしょう。

そしてこれらのために重要なのが、業務の見直しです。10年前は必要な業務でも、今も必要かどうかを見直すこと。昔からやっていたという理由だけで続けるのは、スマホも携帯電話もPHSも全部持ち歩き、使いこなせというようなものです。

ミニマリストだからこそ、不足しているならそもそもやめられないか?と考えます。ここでも、ミニマリズム思想は生きてくると思います。そもそも日本人は、多いものをどうにかするよりも、少ないものをうまく利用するほうが得意な民族です。

足りない状況こそ、むしろ日本人の得意分野のはず。それを、足りないなら増やせばいいという考えでなんとかしようとするのは、悪手と言わざるをえません。

少子化により労働人口が減少する。これはむしろ好機と考えるべきです。ないものねだりをすることは、決して良い結果を生み出しません。まして、移民で労働力不足を補うなど御法度もいいところ。移民による治安悪化はどの国でも問題化しています。

人手が減れば分配も増える

さらに、人手不足は給料アップにもつなげることができると考えます。

なぜ給料が上がらないのか?単純に考えれば、人手が増えても売り上げが上がらなければ増やしようもありません。(企業が内部留保としてため込んでいるからという考えもありますが、それは一旦保留とします)

人手を増やしたからといって売り上げが増えるかと言えば、そんな単純な話ではありません。人を増やせばその分労務費が増えます。その労務費は売り上げからくるわけですが、人ひとり増やして売り上げも一人分増えるでしょうか?

例えるなら、ある地区内にお店があったとして、同じ地区内にもう一店店を増やしたからその店に同じだけの売り上げがあるか?あるわけありませんね。店の数を2倍にしたから売り上げも2倍なんていう単純な公式にはならない。

人を増やしたからといって売り上げが一人分増えるわけでもなく、ましてそれ以上に売り上げが出なければ昇給にもつながりません。人を増やすということはそれだけの売り上げアップがなければ、労務費の分配が減るだけなのです。

ですから、少なくとも従業員側が安易に人手が足りないから人を雇ってほしいと言うことは避けるべきです。それはつまるところ、自分の取り分を減らしてくれと言っているのと同じことなのですから。

給料を上げたいなら、分け前を減らす行為は避けるしかありません。人手を増やして分配が減っても、なお自分の給料が上がる余地があるというのであれば良いでしょうが、現実は果たしてそうでしょうか?

つまり、人手を増やすのは従業員側にとってみれば身を削ることになります。人手が増えて楽になった分、貰うものは減るんです。

しかし、これが経営者側、資本家側にとってみればどうでしょうか?彼らにとっては、人手を増やすことはメリットがあるから、「人手不足」だと声高に言っているのだと思います。

経営者は人手は多いほうがいい

ここからは、経営者にとって雇う人は多いほうがいいという考察を述べていきます。

考察の結論は、人手が多いほうが雇うリスクが減るというものです。

前述で、人手不足になれば仕事の責任や重要性が増し、やりがいにつながると説明しました。しかしこれが、雇う側からすればリスクです。その人一人が辞めると業務が滞るかもしれないからです。

経営者側からすれば、代わりの利かない人材は厄介この上ないもの。替えがきかないのは面倒なのです。ですから、人手を増やし、誰がやっても同じだという状況は、リスク回避になります。

そして人手が多ければ、一人当たりの給料を下げることができます。これもまたリスク回避。それをどの企業もやれば、平均して給料は下がります。ですからどの企業も人手不足を喧伝し、多く人材を雇用したがる。

一人一人を安く大量に雇用し、人材としても給料としてもリスクを下げる。それが人材不足を嘆く企業の戦略であるとぼくは考えます。

しかしその戦略はそろそろ通用しなくなってくる。前述したように、人手過剰のデメリットにより、経営そのものが怪しくなってきているからです。やる気がない社員ばかりでは、新規の商品開発も、経営改善も進まない。現状維持に回るしかない会社では、倒産するしかありません。

前職で勤めていた会社は売上不足で人手過剰に陥っているようです。かといって、会社都合の退職も無ければ、業務の見直しも無い。ずいぶんと状況は危ういと聞きました。

ですから、これからの企業に求められるのは、少ない人手で確実に業績に繋がる業務に注力すること。昔からやっているという理由だけで続けている業務は見直し、今必要なければ止める。そうして、今いる人手で確実に売り上げを伸ばす戦略が必要です。

その環境づくりに繋がるのが、少子化だと思います。いないものはどうしようもないのです。退くこともできません。少子化という避けられない流れに適応した企業だけが生き残ることができ、人手不足だといって雇うだけで対処しようという企業は潰れるだけ。

そうすれば、今の給料安を嘆くことも、仕事への意欲が無く心を病むという人も減っていくと思います。少子化こそが、現代に働く人々の問題を解決する流れだと考えます。

最後に

少子化により労働人口が不足することは、今後の働き方を見直していくことにとても役立つという考察を述べてきました。

「増やしてどうにかしようとするのは良い結果を生まない」というのは、ミニマリズムとして当然の考えです。増やせば増やした分だけ問題も増える。それが、ミニマリストとしてのぼくの見解です。

ぼくは少子化について全く悲観視していません。むしろ、日本という国に1億を超える人口は多すぎるのです。減らして、適切な人口になるべきだと思います。

養老孟司氏は、ある著書で日本の人口は7,000万人くらいが適切だと述べていました。現在の半分近い人口ですが、そのくらい減ったとしても問題ないと思います。問題だと考えるのは、国民一人一人の価値が上がって扱いづらいと考える資本家と政治家くらいなもの。

少子化は問題であるという政治家やメディアの妄想に惑わされず、少子化によって起こる内容をただ減るから問題だとみなさず、適切に見極めていくことが必要だと思います。

それではまた。

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