[雑記]ワンオペ居酒屋に学ぶミニマリズム

※↑アイキャッチ画像はイメージです。

昨日は、退職した会社の元同僚と居酒屋に飲みに出掛けました。

選んだお店は、2年ほど前にできたばかりの居酒屋。
お昼は定食屋、夜は居酒屋というスタイルのお店です。

ただ事前にネットで調べた感じでは、あまり口コミが無く、繁盛しているようには見えないお店。
しかし、お店のインスタグラムには新鮮な魚を仕入れているという情報もあり、まずは一度味わってみるしかない。
ということで、みんなと行く前にランチで一人で行きました。

開店直後に入ったこともあって、お客の姿はなし。
入ってみると、店主さんらしき方1人。
早速空いているカウンターの席に座ります。

印刷用紙そのままのメニューを眺めたり、ホワイトボードに書かれたメニューを眺めたりして今日のメニューを決定。
ぼくはあまり生の魚は好きではなく、とくに海鮮丼は美味しかった記憶がありません。
海鮮丼が売りのお店なんですが、ついつい目に入ったブリの照り焼き定食を注文しました。

ただ、注文をしたときに、注文を受けたのは最初に見た店主さんらしき方。
もしやこのお店、ワンオペなのか?と思い始めます。
確かに席数は多くなく、せいぜい15席ちょい。
しかも、注文をしてからしばらく待っても、他にお客の来る様子はない。
この時点で、外れかなぁと思い始めます。

しかしその考えは、ぶりの照り焼きによって吹き飛ばされます。
う、美味い!
特に衝撃なのは、魚の脂が美味いと思った自分自身に。
ぼくは魚の脂が好きではなく、そのため白身魚が苦手。
サバもカリカリに焼いて脂を落としてしまうほどです。

しかし、そんな脂嫌いのぼくが美味いと思うほどの脂のうまさ。
変な臭みもなく、魚の美味さがダイレクトに伝わる照り焼きでした。

この店は確実に当たりだ!
そう確信しながら、定食を平らげます。
ご飯のおかわりもできましたが、ここで満足してはもったいない。
微妙に物足りない満足感は、夜の居酒屋タイムで満たさせてもらおう。
そう思ってお店を後にしました。

そして夜、元同僚を連れてお店へ。
7時ごろでしたが、先に入っていたお客は2人。
ぼくが来るのと同じタイミングで3人ほど来ましたが、それ以降入ってくるお客はいませんでした。
賑わいは無さそうですが、むしろこちらとしてもしっとり楽しめそうだと思いました。

席について早速注文。
やはり夜もワンオペのようで、店主さん一人で切り盛りしているお店でした。
ですので、当然他のチェーン店の居酒屋に比べれば飲み物や料理の提供には待ち時間があります。
しかしそれがいい。
おかげで、一つ一つの飲み物や料理を、次の分が来るまでじっくり味わう余裕が生まれます。

そしてやはり魚が美味かったです。
ランチでは照り焼きでしたは、今回は生の料理をずらっと一通り注文。
注文の書き取りに店主さんが追い付かず、ちょっと申し訳なかったかも。

しかし、来る料理来る料理どれもが大当たり。
刺身とはここまで美味い物だったのか…そう感激。
元同僚も、こんなにうまい魚を出す店は初めてだと感動していました。

イカ刺し。
こんなにもイカとは味があったのか。
ハマチ。
ぶっちゃけ好きではない魚ですが、こんなハマチならいつでも食べたいと思いました。
白子ポン酢。
絶妙な火の通し加減がたまりません。

一皿の量も、他店に比べてボリュームがあり、こんな値段でいいのかとこちらが不安になるほど。
大満足の夜でした。

そんなお店を眺めて思ったのは、ワンオペだからこその良さでした。

お店の規模が規模だから、売り切れになるメニューもそこそこありました。
しかしそんなことに苛立つ気には全然なりません。
こんなにひっそりと営業しているなら、多く仕入れることはできないし、売り切れも仕方ないと良い意味で諦めがつきました。
むしろ、食べられたのなら儲けものというくらいの気持ちになれます。

前述したように、料理の提供には時間がかかりました。
注文の受付、調理、配膳。
ワンオペですから、当然ですね。
しかし、このお店は居酒屋ではありますが、とことん料理と酒を味わう店でした。

どんどん料理が並べられるわけではないので、一つの料理をみんなでじっくり味わう。
こんな飲み会は初めてだったかもしれません。
次から次へと来る場合では、味わう余裕もなくどんどん食べないとテーブルが埋まる。
だったらそんなに注文しなきゃいいのにと思うのですが、つい最初はあれこれと頼みたくなってしまいます。

ワンオペだから遅くなる。
お店の提供の遅さこそが、お店のスタイルの1つになっていました。

それだからかどうかはわかりませんが、客の入りはほとんどありません。
立地も町はずれなのでなおさらかもしれませんが、客の側としてはありがたかったです。

まるで居酒屋という皮を被ったバーのようなお店でした。

そして、そんなスタイルを見ていると、勝手にミニマリズムを感じてしまいます。

人員は1人と必要最低限。
仕入れも余りが出ないよう必要最低限。
1人でできることをやる。

そんなお店の雰囲気に、ついこちらも知らず知らずに必要な分だけを注文するといった感じになっていきました。
一皿食べ終えたら次を注文する、という感じに。
お酒も、飲み物も、一切のお残し無く完食です。

最初は、1人で営業しているようなお店で大丈夫か?という心配がありました。
しかし、お店を出て思うのは、一人だからこそお店の良さが際立っていると。
お店の中も、席数こそありますが実は意外と席と席の間には余裕があり、広々とした印象を受けます。
対処できるお客の人数で席数を決めたのだと思いますが、結果的には店内に余白ができ、人と人の距離が近すぎないゆとりがありました。

店主さんも、ワンオペで忙しそうでしたが、接客も配膳も、気遣いも素晴らしかったです。
そこまで気を遣うからこそ、多くの客を入れることはできないのではないか。
自分の限界を知るからこそ、欲張らず可能な範囲で留める。
その在り方にも感銘を受けました。

料理、飲み物、お店の在り方。
全てに満足した一夜でした。

ただやはり、この状態で営業が続けられるのか?という心配だけは拭えませんでした。
せめて営業が続いている間はちょくちょく通おうかなと思います。

それではまた。

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